10月特別御朱印

カテゴリー │社務日誌

こんにちは。井伊谷宮です。
さて本年も10月を迎え、もう四分の三過ぎてしまったのかとしみじみ思います。
秋と言えばお月見。昨年の中秋の名月は10月でしたが、今年は9月21日でしたね。みなさんお月見はされましたでしょうか。
10月特別御朱印


さて10月の特別御朱印は神無月(かんなづき)と名残月(なごりづき)です。
神無月は10月の異名ですね。よく神様がいない月なのかと聞かれますが、そうではなく「無」というのは当て字で神の月という意味です。同じように水無月も水の月を表します。

漢字で「無」が使われている点や、神様が集まるとされる出雲地方では10月の事を神在月(かみありづき)ということからこのように勘違いされることもありますが、収穫の時期である10月は全国的にも稔りに感謝するお祭を行う神社が多いです。神社に神様がいないとお祭りもできずに困ってしまいますね。
10月特別御朱印


難しいことを言うと分魂(わけみたま)の考え方など諸説はあるかもしれませんが、神様がいないということはありませんのでその点はお参りの際にはご安心いただければと思います。
話がだいぶそれましたが、今回は紅葉と鹿が描かれています。

鋭い方はお気づきかもしれませんが、紅葉と鹿の組み合わせは花札にも見られますね。その他百人一首の歌にも詠われているように、紅葉と鹿は秋の情景として親しまれてきました。
花札では10月に鹿が描かれそっぽを向いています。それがシカトという言葉の語源というので面白いですね。

またかつては鹿や猪がよく食べられていたそうですが、隠語として鹿肉の事を紅葉(もみじ)というそうです。
鹿のことを紅葉鳥という言い方もしますが、これは晩秋に鳴く鹿の声を鳥の声に例えてそう呼ばれるとのことです。
10月特別御朱印


もう一つの御朱印は「名残月」です。こちらは茶道で用いられる10月の異名です。
茶道の茶碗と茶筅(ちゃせん)というかき混ぜる道具と共に、季節の植物であるイチョウの葉が描かれています。

名残の月というのは、茶道では11月が新茶の時期とされるため、茶壷の中のお茶も減って名残惜しく感じることからきているようです。一巡りした季節を思う寂しさや、来月の新茶を楽しみに待つ気持ちもあいまって複雑な情緒を併せ持つ日本らしい言葉のように感じます。

この月だけは「金継ぎ」したお茶碗をお客様にだしてもよいとされます。金継ぎとは壊れてしまった茶碗を漆(うるし)を用いて修復する伝統技法です。そのため御朱印の茶碗には金で線が引かれています。

全て巫女さんが一枚一枚細かいタッチで線を引いていますので、それぞれがこの世に一枚の特別な御朱印となっております。
この金の部分が全体を引き締めている感じがして、とても趣深く感じますね。茶の湯の侘び寂びの雰囲気や、日本独特の美意識をイメージした御朱印です。
10月特別御朱印


境内には季節外れの桜が咲いています。令和の御代替わりの年も咲いていましたが、自然界のこうした現象もコロナに疲れた私達の心を慰めてくれているように感じます。第二駐車場にて咲いていますので、どうぞご覧ください。


同じカテゴリー(社務日誌)の記事
地の神様
地の神様(2023-12-10 12:48)

12月の御朱印
12月の御朱印(2023-12-05 15:44)

まゆ玉と菊飾り
まゆ玉と菊飾り(2023-11-11 16:11)

11月の御朱印
11月の御朱印(2023-10-31 13:58)


 

削除
10月特別御朱印